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2017年11月26日 [心療内科・精神科]

秋葉原無差別殺人事件

 毎週楽しみに見ている「たかじんのそこまで言って委員会」の本日の番組を見て投稿します。番組の中では例の秋葉原殺人事件について論議がなされていました。いつもはなるほどと感心しているのですが今回のテーマに関しては、小田晋先生のような精神科医は出席しておらず残念ながら消化不良の印象を受けました。このような猟奇事件での解釈でいつものワンパターン解説で、家庭での養育環境、学校教育、社会情勢、雇用問題等に原因を求め、それでいて結局は「良くわからない」という事でした。私、個人的にはこの事件も人格障害・発達障害の影響があると考えています。

 

 ちょうど同時期に、二十年前の幼児大量殺人事件の犯人である宮崎勤死刑囚の死刑執行が行われたという報道がありました。当時の精神医学では、発達障害、アスペルガー障害の概念があまりなく、日本を代表するような立派な精神科医による精神鑑定の結果が全て異なるという、一般の人には理解しがたいものとなったと思います。今から考えると彼は自閉症だったと思います。それ以後の世間を震撼させた猟奇事件は「心の闇」として処理されてきたと思いますが、本当は人格障害・発達障害が大きく関与しているのではないでしょうか。

 

 もちろん発達障害、自閉症・ADHD・アスペルガー障害の方がそうした事件を起こすとは決して思いません。犯人に共通する被害感情、恨み、暴力・破壊的衝動、孤立感等は発達障害だけでは説明できないと思います。私が直接診察している患者さんの中にも発達障害の傾向があるなと、思われる場合も珍しくありませんが、誰一人としそのような事件は起こしていません。つまり世間を騒がす事件の犯人は、人格障害・発達障害とプラス別の要因があると推測しています。発達障害に起因する親子関係、学校生活、対人関係上の二次的影響・問題も大きいと考えますが、それでも事件を起こす理由としては不十分です。同じような環境・状況下の人でも、ほとんどの人が事件を起こさないからです。とんでもない事件を起こす犯人はさらに別のファクターがあり、それが何か現時点では良くわかっていないのが本当のところだと思います。だからこの種の事件はこれからも繰り返すのです。



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