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うつ病と人事
2017年11月26日 [心療内科・精神科]

 民間企業、公務員、教職員など全ての職場の人事担当者の方、特に幹部クラスの方々に注文したい事があります。

 

 現在では一般的で珍しくないうつ病に関しても、マスコミ報道における「こころの風邪」のような軽症の疾患ではなく、実は何割かの方が慢性化し生涯治療を要する疾患であることを理解する必要があります。当ブログでも「うつ病1/3の法則」で説明しています。

 ガンや心筋梗塞、脳卒中よりも復職困難な例も少なくありません。こういう誤解を生んだ原因は精神科医・マスコミに責任があると思いますが、治癒するまで休職しなさいという態度では、約2/3の患者さんが復職できず退職を余儀なくされることになります。



 もちろん経営者側の事情も考えると、世の中そう甘いことを言っていたら企業経営が成立しない事も十分理解しているつもりです。それでも多少のハンディを承知の上で退職しないで済むような勤務形態が成立しないか、検討して欲しいのです。子育てと仕事を両立する勤務形態を考え出すことと似たような所があります、安倍首相の働き方改革に通じるところがあります。うつ病患者さんが全く働けないことはありません、ほんの少し勤務条件を配慮すれば勤務可能です。もちろん患者さんの側にも働きに応じた報酬になることを覚悟する必要があるかと思います。


 柔軟な人事異動も必要と思います。人事異動は決まった時期にしかできない、本人の希望通りにしていたら人事が混乱する、という発想ではうつ病患者の復職を阻害しているケースも少なくないと思います。当院通院中の患者さんの例ですが、今まで2回休職し、合計2年以上休職しても改善せず復職できない方がいました。硬直化した人事で「休職時の部署に戻る必要がある。」と人事の責任者がずっと言ってきたのですが、人事課がさすがに考え直し、患者さん本人が希望する部署に異動することになりました。そうしたら、すぐに症状改善し復職できました。 このように、ちょっとした職場環境の調整でうつ病の方も十分働けます。


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