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2017年11月26日 [心療内科・精神科]

うつ病 1/3の法則

 様々な精神疾患の中でうつ病程世間一般にも知られている病気はありません。テレビ、本、インターネット、講演会等でしばしば取り上げられており、実際家族や同僚、知人など身近な人にうつになった方が少なくないため国民的関心が高い結果と考えています。しかし、毎日実際患者さんを診察している臨床医としては一言申し上げたいところです。

 

そういうマスコミ等で登場する精神科医の責任だと思いますが、どうしても楽観的な内容になっておりうつ病の実態とずれが生じている気がします。厄介なことに精神疾患はすべて明確な境界はなくインフルエンザのようにA型、B型、新型のように確定診断できないものですから混乱が生じます。うつ病と躁うつ病(双極性障害)、自閉症とADHD、アスペルガー障害の境界線はそもそもないのです。精神科医ごとにどの範囲をうつ病と考えるかバラバラなのです。もちろん私も主観的に診断しているわけです。

 

うつ病は「きちんと治療すれば必ず治る。」「十分休養すれば治る。」「ストレスがたまらないようにすればうつにならない。」などと先入観を持っている患者さんや、家族、会社関係者も少なくありません。実際はそう簡単に治癒しないのでいかに説明し納得していただくか苦労する場合もあります。患者さんの中にはあまり改善しないため医療機関を転々とする人も少なくありません。そこで当院では、うつ病の経過を説明する時「うつ病1/3の法則」という言葉を使用します。

 

不幸にもうつ病になった方は、経過が良好な1/3が治癒、つまり服薬・通院も必要なくなり発病前の状態まで改善する。次の1/3が服薬・通院を継続しながら仕事や家事・子育てが以前と変わりなくできる。経過が良くない1/3の方は通院・服薬しても元のレベルには戻らない、つまり後遺症を残す。以前のようにバリバリ仕事はできない、家事・子育ても十分にはできないということです。しかし、ほとんどの場合障害者レベルにはなりません。仕事や家事・子育てに対する考え方を修正して「無理して完璧にする必要はない。」という境地に立てれば十分生活していけます。

 

うつ病の予後は決して楽観的ではなく、特効薬、決定的な治療法があるわけではありません、それで総力戦となるわけです。最近の風潮として薬物療法を否定的にとらえ、認知行動療法で根本治癒するという楽観論が広がっています。これも要注意です、認知行動療法で治癒した患者さんはそれを実施なくても治癒している可能性が高いと思います。うつ病だとすぐに休職させるつまり過剰診療、薬物療法を軽視する過少診療ともに患者さんには受けると思いますが、適切な治療はその中間にあるわけです。

 

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