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2017年11月26日 [心療内科・精神科]

うつ病、本当は医原病?

ある新聞の報道記事によると、うつ病患者が100万人を超え、この10年間で2.4倍に増加しているとのことです。企業ではうつ病による休職者が続出して対策に苦慮していることが報告されていました。内容としては精神科医の安易な診断や抗うつ薬の処方が背景にあるのではないかとの問題提起でした。ニュアンスとしては現在のうつ病治療(SSRIという抗うつ薬)に対して批判的な内容でした。

 

 当方も現役の精神科医であり、興味のある内容でした。当然それに対してコメントしなければならないと思いました。医者が原因でうつ病が作られているいう悪いイメージを患者さんに持たれては困るからです。ずっと以前より当方が申し上げていることでありますが、精神医学では、

 
@診断そのものが曖昧であり、すべての精神疾患はその境界はなく、明確な確定診断が困難であり精神科医の主観的判断によるところが大きい。よって統計上うつ病が増えている可能性がある。

 
A治療法は薬物療法・精神療法・カウンセリング等多岐に渡りますが、残念ながらまだうつ病の画期的な治療法は出現していない。よって休養が重要な治療法であり休職者が増えている。



 新聞記事の中でコメントされた大手電機メーカー勤務の精神科医によると、本来のうつ病ではなく性格的な問題による不適応ではないかとの指摘がありました。別の大学教授の意見では精神的なことでも自然治癒力が本来あり、カウンセリングや運動で治癒するという説も掲載されていました。 臨床の精神科医にとしては「そういうケースも存在する。」と当たり前のこととして考えますが、やはりSSRI等の抗うつ薬の使用が適切な場合が大部分かと思います。SSRIが登場する前の薬は副作用が強く使いにくかったのです。

 

 もちろん精神科医の中にも、うつ病と診断すると安易に「休職してじっくり治るまで休養しなさい。」「デイケアに毎日来なさい。」「ストレスケアのため入院しなさい。」などとワンパターンなセールストークで対応をしている先生方もいると思いますが、その結果うつ病休職者が増えるのは事実かと思います。

 

 臨床の精神科医として反省すべきと考えているのは、精神科の診断はその時々でブームがあることです。PTSD、非定型うつ、新型うつ等を声高に主張している精神科医は信用できません、自分の功名心のために社会や患者さんを混乱させています。現在は双極性障害が大ブレイクしています、しかしインフルエンザみたいに急に流行したりしませんよ。阪神大震災の時はPTSDブームでしたが、今年の震災ではほとんど注目されていませんね。今回の地震は本当に被害が甚大で、目立ちたがり屋の精神科医に出番なし。

 

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