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希みが丘クリニック
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2017年11月26日 [心療内科・精神科]

うつ病と上手に付き合う

 うつ病患者さんが数ヶ月の治療で、「今日で治療は終わりです。」と治癒( 薬を飲まなくても良い状態 )することも少なくありませんが、実際の臨床現場では治療経過の個人差が大きく、そうならないことも結構あります。寛解状態( 薬を飲みながら安定している状態 )を現実的な治療目標とすべきです。疲労感、頭痛、おっくう、朝の不調感等の軽度のうつ症状を抱えながらも普通通り仕事・主婦業をしている方も少なくありません。当院でもそういう状態の方が多く、平日は仕事をして時間がないため土曜日に受診するしかなく、土曜日は大混雑します。

 

 うつ病の場合治癒を目標とすると、それが達成できない方がいたり、もしくは長期間の休職が必要となります。ある時、休職中の公務員の方の上司よりI「2、3年休職しないで復職して大丈夫か。」との問い合わせがあり当方もびっくりしました。そこではその位の期間休職するのが常識との事でした。それだけ長期間休んで人件費やその他コストが問題視されないことに、納税者としても納得できませんし、そんなに長期間の休職を職場より命令・指示される患者さんも逆に大変な苦痛になると思います。休めば解決するというものでは決してありません。

 

 企業のメンタルヘルス・人事管理においてうつ病ばかり話題になりますが、実際精神疾患はその他にも統合失調症、人格障害、躁うつ病、その他精神病等があり、それらの患者さんは必ずしも復職を目標としないことも少なくありません。統合失調症の方だけでも全国で100万人以上存在しますので決してまれな疾患ではないのです。精神科デイケアに毎日のように通所したり、自宅でひっそりと生活されたり、精神科病院に入院したりされています( 全国で約30万人の方が入院しています )。人格障害者の方はもっと多いと推測されますが、そうした診断ができるのはやはり精神科医だけです。最近EAP( 従業員支援プログラム )が様々な企業、役所で導入されていますが、現役の精神科医が関与しないでカウ ンセラーだけに頼っていると、うつ病とそれ以外の精神病の区別は困難となります。精神科医療機関と連携していると思いますが、うまく機能しているか疑問の残るところです。

 

 残念ながらうつ病になった方は、治癒しない場合でもうつと上手に付き合い、自分で心身両面においてセルフコントロール( 簡単に言うと無理しないで、ストレスをため込まないという常識的なことになってしまいますが )しながら生活することが一番大切です。診察時にいつも言っていることは一定のペースで仕事をしたり、家庭生活をおくることですね。自動車でも急発進、急減速しないで一定のスピードで走行すると燃費が良くなりますよね、それと同じ理屈です。調子が良いからとやり過ぎは禁物です、その後反動が来て悪化します。一流のプロスポーツ選手が体調管理に十分気をつけるのも同じ意味です。そうすれば十分治療と仕事・生活は両立できますよ、高血圧や糖尿病と同様です。もちろん職場環境の調整や、雇用者側の協力・柔軟な対応が不可欠です。

 



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