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2018年02月01日 [心療内科・精神科]

体感幻覚

 幻覚と言えば幻聴、幻視、幻嗅、幻味等の人間の感覚異常によるものが有名ですが、体感幻覚というのもあります。

 体感幻覚は内臓感覚、皮膚感覚、痛覚等の異常です。精神科医でしたら何回かは患者さんからの訴えで経験があると思います。

 当方も精神科病院勤務時、例えば「脳が溶けた」、「子供を5人ぐらい妊娠している(60代の女性)」、「腕の皮膚の下を虫が動いている」等患者さんより診察時言われたことがあります。いずれも統合失調症の患者さんで、あり得ないことなのですぐに体感幻覚と理解できました。

 しかし、腹部症状として「妙な違和感がある」、「チクチク、ビリビリする」、「腹痛のような感じ」などの訴えが続いた患者さんがいました。その方は65歳以上の方ですが、知的レベルが高く、現役で働いている方であり、元々はうつ病の方でしたので、心気症状か身体的不定愁訴と判断していました。このような感覚でしたら皆さんも経験あるかと思います。しかし、その方の症状はなかなか改善しませんでしたので疑問が残りました。

 ある時その患者さんが、自分で症状の説明をA4サイズ2ページにわたり書いて、当方に渡しました。拝読するとその内容が詳細過ぎ、ややグロテスクでした。この時体感幻覚とわかりました。通常人間の感覚は意外と曖昧でその表現は短いものです。A4サイズ2ページとなると体感幻覚から心気妄想が体系化している状態です、自分で物語を作っているわけです。

 この場合、体感幻覚の診断がつくまで約半年かかりました。精神科医としては基本的な症状ですが苦戦した症例です。
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